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肥満について

2009年08月01日

学会シーズンが終わった後は、納涼会シーズン。
あっちからもこっちからもお誘いをいただき、うれしいのですが、食べ過ぎでの体重が気になる今日この頃。

お久しぶりですが皆さんお元気ですか?

肥満に関するお話をちょっと専門的ですが分かりやすく情報配信致します。

最近、肥満の研究が進み、その発症メカニズムや病態の一部が明かされ、従来の肥満に対する考えが訂正されつつあります。

日本肥満症学会の基準(1999)

学会では体格指数BMI=標準体重(kg)÷{身長×身長(m)}が25以上を肥満、18.5以下を「やせ」としました。BMIが25以上で健康障害を伴う場合を肥満症とします。合併症の多い内臓脂肪型肥満の基準として、ウエスト(臍)周囲計が男性で85cm以上、女性は90cm以上を肥満とします。 BMIは右側の計算機で計算できますので使ってくださいね。

脂肪組織の二つの型

白色脂肪組織は全身に分布し、中性脂肪を豊富に蓄えたエネルギー貯蔵庫です。もう一つの褐色脂肪組織は、体内のエネルギーを消費して、熱産生を行う消費器官です。褐色細胞は首の後、背中、わきの下、大動脈、腎臓の周囲の5箇所に限られ、熱を産生して体温を維持します。肥満は褐色脂肪の機能低下が関係し、その反対が「やせの大食い」と思われます。

脂肪組織は内分泌器官

脂肪組織は単なる備蓄臓器でなく、さまざまなホルモンなどの物質を分泌する臓器です。その一つのレプチンは視床下部の食欲中枢に働きかけて食欲を押さえ、褐色細胞に働いてエネルギーの消費を増やして、結果は脂肪を貯めない作用があります。レプチン欠損の肥満ねずみにレプチンを投与すると痩せますが、人ではレプチンの反応が不十分で肥満が起きているようです。

内臓脂肪

腹腔内の腸間膜、大網に多くの脂肪が沈着する内臓脂肪から多種類の物質が分泌され、これらが多くの病気に関係します。インスリン作用を抑制して糖尿病を招く物質、直接血管に働いて動脈硬化や血栓を起こす物質、血圧を上げる物質などが分泌されます。また、門脈血中に脂肪分解産物である遊離脂肪酸が大量に放出され、高インスリン血症を助長し、LDLコレステロール(悪玉)のもとにもなり、中性脂肪を増やします。これらの物質は内臓脂肪の量に比例して多く造られます。肥満に高血圧、高脂質血症、糖尿病、動脈硬化が合併しやすいのは、内臓脂肪の仕業です。運動、食事による減量は、内臓肥満型の方が皮下脂肪型より効果的です。

肥満の遺伝

約2000組双生児の肥満調査では、一卵性の肥満の頻度は二卵性の倍でした。最近、肥満に関する遺伝子が発見され、その一つのβ3アドレナリン受容体はエネルギー消費を増す反応の引き金的な役割をしています。この遺伝子に変異があると脂肪の分解されにくくなって、太りやすくなります。日本人では3人に一人に変異があります。その場合、一日の消費代謝量が少なく、肥満予備軍になります。一般的に肥満の遺伝子の関与は25%、やはり環境が75%と大きく関係します。

まとめです

肥満は単なる「摂取と消費のエネルギー」結果ではなく、多くの要因が関係しています。また、肥満の種類によって健康への影響は異なります。先日紹介しましたが、最近の研究では高齢者は小太りの方が長命です。肥満を正しく理解し、若い女性の間違った「痩せ願望」は捨てて欲しいものです。

ご参考までicon48


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